《要旨》
媒介業者を介して購入した宅地に重説に記載のある下水道管等が接続されていないため、買主が媒介業者に排水施設等の整備を要求したもの。57万円余で和解成立。
(1) 事案の概要
買主Xは、平成13年4月に媒介業者Yを介して、売主甲からA市所在の宅地を1,900万円余で買い受けた。
Yの重要事項説明書によれば、飲用水は「公営」、ガスは「都市ガス」、排水は「本下水」で、「ただちに利用可能な施設」とされていた。
ところが、本件土地には、飲用水、都市ガスいずれも通っておらず、下水道管についてもA市の公共下水道ではないことが判明した。更に、契約上、本件土地が接面している位置指定道路については、「甲持分の1/2を分ける」とされていたが、平成13年11月になり、甲は道路持分全てを隣家に売却していたことが判明した。
Xは、本件土地が瑕疵物件であるとして、Yに対して、売買契約書契約及び重要事項説明書に記載された道路持分、排水施設等の項目を全て履行するよう要求した。
これに対してYは、Xは隣接する土地建物を所有し、位置指定道路の持分も持っており給排水管も引き込み済みである。Xは本件土地を、所有している隣接地と一体で使用するため、道路持分も給排水管も不要という条件で売買契約を締結したと主張したため、紛争となった。
(2) 事案の経過
委員3名により5回の調整を行った。調整の過程でXは、飲用水、ガス、下水が直ちに利用可能で費用がかからないとする重要事項説明書記載どおりに、Yは履行すべきであると主張した。
これに対してYは、位置指定道路及びその下に敷設されている下水道管の過去の経緯(不動産会社Bが接道の無い土地を分譲し、裁判所の判決によりBは道路付けと下水道管敷設を行った。)を説明し、元々の開発分譲業者BがA市に採納せずそのまま所有者になっていることが根本の問題であり、Bは市に採納すべきであると主張した。
Xは、金銭解決をしても、下水管が採納されない限り問題解決にならず、YがBと交渉して採納させるべきと主張した。これを受けてYは、一旦は採納交渉をする旨約束をしたが、Bと交渉すれば、BはYに金を払えと要求することが明白であり、そもそもYには金銭を負担する根拠はないとしてBとの交渉を拒絶した。
(3) 和解の内容