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不動産豆知識

住宅ローン減税における省エネ基準適合

 

2024年以降は「省エネ基準」を満たさないと住宅ローン減税を受けられない

 

住宅ローン減税は、住宅ローンを組んでマイホームを購入した人を対象にした減税措置で、一定の条件はあるものの、年末の住宅ローン残高に0.7%(2022年改正)を乗じた金額を所得税等から最大13年間差し引くことができる制度である。

住宅ローン減税を受けるためには、住宅ローンの返済期間が10年以上あること、自宅の購入であること、金融機関から住宅ローンを借り入れていること、住宅を取得してから6カ月以内に自ら居住を開始することなどの条件があり、新築住宅であれば2023年以内に入居した分については、省エネ基準に適合しない「その他の住宅」であったとしても、3,000万円を上限にして住宅ローン控除を受けることができる。

しかし2024年以降、住宅ローン控除を受けるためには、省エネ基準に適合した住宅・建物であることが条件になってくる。

具体的には、2023年末までに建築確認を受けている場合は、省エネ基準を満たしていなくても、2,000万円を上限にして住宅ローン控除を受けられるが、原則として2024年以降入居分については、省エネ基準に適合しない「その他の住宅」だと、住宅ローン控除が受けられなくなる。

 

 

 

省エネ基準が導入されたのは、地球温暖化対策がきっかけ

冒頭でも触れたように、管前首相は2020年10月の所信表明演説で、「2050年カーボンニュートラルの達成」を宣言した。

さらに2021年4月の気候サミットで、2030年度における温室効果ガスを2013年度から46%削減するという発言も行っている。これを受けて目下、国を挙げて温室効果ガスの削減に取り組んでいるのは周知のとおりだ。 

最終エネルギー消費量の推移を見ると(図表1)、1990年比で最も削減が進んでいるのは「産業部門」で、2019年時点において15.7%減と順調に減少している。また運輸部門は1.4%減だ。これに対して、業務部門+家庭部門を見ると、16.9%増というように大幅増となっている。 

それぞれのシェアを見ても、産業部門が52.6%から46.3%に減少したのに対し、運輸部門は微増。ところが業務部門+家庭部門は、24.9%から30.4%へと大幅増という結果となった。 

そうしたデータを受けて、たとえば住宅への太陽光パネルの設置については、「2030年には新築戸建住宅での太陽光発電設備の設置割合6割」、「2050年には設置が合理的な住宅・建築物において太陽光発電設備の設置が一般的」となることを目標とする、と2021年10月22日に閣議決定されたエネルギー基本計画に明記された。 

ただし、住宅に対して省エネのための設備を設置するには当然、相応のコストがかかってくる。そのために、省エネ基準適合住宅、ならびにZEH水準省エネ住宅に対して税制優遇措置が導入された。 また一方で、省エネ基準に適合しない「その他の住宅」に対する税制優遇措置を無しとしたのは、省エネ促進を加速させるためでもある。

 

 

 

 

住宅建築コストの上昇分に応じて 税制優遇措置にも格差がつけられた

2024年1月以降に建築確認を受ける新築住宅で、住宅ローン減税を受けるためには、最低でも省エネ基準に適合していなければならない。 

「最低でも」と書いたのは、省エネ基準適合住宅の場合、住宅ローン減税の上限は3,000万円だが、ZEH水準省エネ住宅になると3,500万円、さらに認定長期優良住宅・認定低炭素住宅になると4,500万円まで、その上限額が増額される仕組みだからだ(図表2)。 

 

 

こうした差をつけている理由は、それぞれの基準を満たすためには建設コストが上がる分、住宅の価格が高額になるからだ。 

 

まず、住宅ローン減税が受けられる最低基準である省エネ基準適合住宅は、

 

・断熱等性能等級(外壁、窓等を通しての熱の損失の防止を図るための断熱化等による対策の程度を示す等級)4以上かつ

・一次エネルギー消費量等級(一次エネルギー消費量の削減のための対策の程度を示す等級)4以上の性能を有する住宅が該当します。 

 

 

一方、ZEH水準省エネ住宅は、

 

・断熱等性能等級5以上かつ

・一次エネルギー消費量等級6以上の性能を有する住宅が該当します(図表3)。 

 

なお、2024年以降に建築確認を受けた住宅を建設するに際して、住宅ローン減税を受けるためには、「省エネ基準適合住宅」であることの証明書として、

 

①建設住宅性能評価書の写し

②住宅省エネルギー性能証明書

 

のいずれかを提出しなければならない。 これらの書類は、住宅を購入する人が単独で取得するのが極めて困難であるため、設計者や施工業者の協力が必要になる。

「建設住宅性能評価書」は、登録住宅性能評価機関が発行するもので、断熱等性能等級が4以上、一次エネルギー消費量等級が4以上であることを証明したものが有効となる。

また「住宅省エネルギー性能証明書」は、登録住宅性能評価機関のほか、対象住宅の設計・工事監理等を実施した建築士による証明も可能であり、前出の建設住宅性能評価書に比べると、柔軟な対応が可能になっている。

 

 

 

 

築古物件についても建て替えが進むことで 全体として住宅の省エネ化が促進される

 今後、住宅・建築物分野の省エネ対策は、全面義務化とともに、義務基準の底上げが進められていく予定だ(図表4)。

まず、2025年4月(予定)からは、原則としてすべての新築住宅・非住宅に対して省エネ基準への適合が義務付けられる。これがいわゆる「全面義務化」と呼ばれるものだ。したがって2025年4月以降(予定)、工事に着手する建築物はすべて適合義務の対象となる。

こうして2030年にはZEH・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)水準の省エネ性能の確保を目指すとともに、2050年にはストック平均でZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保を目指すことになっている。

ただ、ストック平均でZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保を目指すに際しては、1980年代、あるいは1990年代の省エネ基準の適合を一切考慮せずに建築された住宅・建築物をどうするのか、という問題があるように思える。

しかし、これらの築古物件については老朽化によって順次、建て替えられる可能性が高い。そのため、新しく建て替えられるときには、嫌が応でも「省エネ基準適合住宅」、並びに「ZEH水準省エネ住宅」に適合する住宅になるため、全体で見たときの省エネ性能は、徐々に底上げされていくだろうと考えられている。

 

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