不動産登記に関する法改正が行われました。
これにより、2026年(令和8年)4月1日から、不動産(土地・建物)の所有者の住所や氏名に変更があった場合には、その変更日から2年以内に変更の登記の申請をすることが義務付けられました。(不動産登記法第76条の5)
法改正前では、住所や氏名が変わった際の登記は義務ではありませんでしたが今回の法改正により今後は必ず登記が必要になります。
1.不動産登記とは?
不動産登記とは、その不動産の所有者は誰のものなのか、どんな不動産なのかを「登記簿」という公的な帳簿に乗せることで明らかにすることを指します。
そのため登記した内容は一般にも公開されており、所有者ではなくても閲覧が可能です。
不動産登記の目的は…
不動産登記は、わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか,所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し,これを一般公開することにより,権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし,取引の安全と円滑をはかる役割をはたしています。
上記のように定義されています。(出典:法務省 不動産登記のACC)
例えば、近隣の土地や建物は誰かがそこに住んでいたとしてもその人が所有者とは限りません。
不動産の権利関係やその他情報を公的な情報としてオープンにすることにより、所有者の権利を守ったり、不動産売買や相続時などの権利を譲渡する際の手続きをスムーズにしたりすることが不動産登記の目的です。
2.住所等変更登記が義務化された背景とは
今回の法改正は、所有者不明土地問題の解消を目的としています。
所有者不明土地とは、相続登記や住所等変更登記などがされていないことにより以下のいずれかの状態となっている土地のことを指します。
所有者不明土地の定義
①不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
②所有者が判明しても、その所在が不明で連絡がつかない土地
これらの土地については、所有者の探索に多大な時間と費用が必要となり、公共事業や復旧・復興事業が円滑に進まず、民間取引や土地の利活用の阻害原因となったり、土地が管理されず、放置され、隣接する土地への悪影響が発生したりするなど、様々な問題が生じています。
全国のうち所有者不明土地が占める割合は九州の大きさに匹敵するともいわれており、今後、高齢化の進展による死亡者数の増加等により、ますます深刻化する恐れがあり、その解決は喫緊の課題となっています。
そこで、所有者不明土地の主な発生原因である相続登記の未了及び住所等変更登記の未了に対応するため、今回の法改正が施行されることとなりました。
3.住所等変更登記の義務化の対象と罰則について
法改正により義務化の対象となる登記は、所有権の登記名義人の氏名または住所についての変更登記です。
この住所等変更登記の変更登記の義務化の施行日は2026年(令和8年)4月1日ですが、施行日より前に住所・氏名を変更した場合であっても、義務化の対象となり、2028年(令和10年)3月31日までに変更登記をしなければいけません。
尚、正当な理由なく登記変更を行った場合には、5万円以下の過料が科される可能性があります。
登記の変更方法につきましては、原則対象不動産の管轄する法務局にて申請を行います。
申請方法につきましては、法務省のホームページから確認することができます。
また、今回の法改正より「スマート変更登記」という新しい制度が導入されました。
こちらは一定の情報を法務局に提供することにより、氏名・住所の変更が発生した際に法務局が職権で変更登記を行うことが可能となります。
詳しくは法務局ホームページをご確認ください。