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不動産は売買契約後に解約できる!?7つの解除パターン

「マンションの購入契約をしたけれど、急に事情が変わったのでキャンセルしたい」など、不動産売買において契約後にさまざまな理由から白紙に戻したいというケースがあります。あるいは相手方から急に契約解除の申し出を受けるかもしれません。

特に戸建てやマンションなど不動産の売買は、契約から物件引き渡しまで1か月以上の期間が空くケースもあり、その間に問題が起きて契約を解除したいと考える人は意外に多くいます。

しかし、不動産の売買契約は金額が大きいこともあって簡単に解約はできません。解約自体は可能ですが、違約金を払う必要があったり、さまざまな手続きが必要になったりするケースがあります。うまく対処できなければ、不要なトラブルを招くおそれがあるので注意しなければなりません。

そこで本記事では、まず不動産の売買契約で理解しておく必要のある「解約」と「解除」の違いについて説明し、契約後に起きる7つの解除パターンと、売買契約後の解除でトラブルを減らすコツについて解説します。

今後、不動産の売買を考えている人にとって重要な知識となるので、しっかりと理解しておきましょう。

 

 

解約と解除の使い分け

まず、不動産契約における「解約」と「解除」の違いについて理解しましょう。同じような意味で使われることも多いですが、実務上は次のような違いがあります。

 

●解除:締結時点にさかのぼって契約を解消すること。契約自体をなかったことにする行為で、当事者が解除権をもっている必要があります。

●解約:契約の当事者の一方の申し出により、将来に向かって契約状態を終了させること。解除権の有無は関係なく、一定の要件を満たせば成立します。

 

このように不動産実務上、賃貸借契約のような継続性を前提とした契約において、一方の意思表示によって契約状態を終了させる場合は「解約」という用語を使用しています。一方、契約自体を完全に白紙に戻す場合は「解除」という言葉を使うことが多いです

不動産の売買において問題となるのは主に契約後の「解除」になりますから、以下では不動産売買契約の解除のパターンと、契約解除する際にトラブルを減らすためのポイントを解説していきます。

 

 

不動産の売買契約後に起きる7つの解除パターン

では、不動産売買契約で解除が発生するパターンをみていきましょう。

まず知っておくべきなのは、不動産契約の解除は買主と売主の双方が可能であるということです。

不動産売買契約は双務契約となっており、どちらかが義務を履行しなければ契約解除の理由にできますが、そういった違反行為がなくても契約の解除が可能です。ただし、契約後の解除は手付金が返還されなかったり、違約金が発生したりするので注意しましょう

不動産売買契約が解除になるパターンとしては、以下の7つが挙げられます。

 

●パターン①:手付け金の放棄や倍返しによる解除

●パターン②:相手方の契約違反による解除

●パターン③:住宅ローン特約の条件を満たした解除

●パターン④:売主に契約不適合責任がある場合の解除

●パターン⑤:消費者契約法で問題がある不動産の契約解除

●パターン⑥:売主と買主の話し合いによる解除

●パターン⑦:売主が不動産会社の場合のクーリング・オフによる解除

 

 

パターン①:手付け金の放棄や倍返しによる解除

手付け金の放棄や倍返しによって売買契約の解除ができます。

不動産売買における手付け金とは契約締結時に売買金額の5~10%程度の金銭をあらかじめ支払うものです。契約成立を前提として一定の金銭を売主に預けておき、契約締結後に売買代金を支払う際に返還する場合や代金の一部として充当することもあります。

手付け金には次の3種類があり、不動産売買契約の多くは「解約手付け」となります

 

●違約手付け:契約違反の場合に没収されることになる手付け金

●解約手付け:売買契約締結後に契約を解除する場合に支払う手付け金

●証約手付け:売買契約の存在を証明するために支払う手付け金

 

売買契約の際に解約手付けを売主側に預けておくことで、相手方が契約履行に着手するまでに契約の解除が可能です。買主側が契約を解除する場合は手付け金を放棄し、逆に売主側から解除する場合は預かっていた手付け金を倍返しすることで当該契約を解除します。

マンションや戸建てなどの不動産を購入する場合、預けておく手付け金が解約手付けになっているか確認しておきましょう。

なお、手付け金の目的が不明だった場合は、特段の事情がない限りは解約手付けとして扱われることになります。特に不動産会社が売主となる場合、必ず解約手付けとして扱わなければならないとされています。

 

 

パターン②:相手方の契約違反による解除

契約の相手方の違反行為によっても当該契約の解除が可能になります。たとえば、契約した売買金額が支払われないケースや、代金を支払ったにもかかわらず売主が引き渡しに応じないような場合です。

売主側は売買代金を支払ってもらえない場合に契約を解除できるのは当然ですが、買主側も売主が物件の引き渡しをしない場合や、移転登記を行わないなどの履行遅滞が発生した場合などに契約を解除できます。要は契約内容に含まれた事柄を相手方が履行しない場合に契約を解除できるわけです。

ただし原則として、履行されない時点ですぐに解除できるわけではなく、1週間程度の履行期間を設けて相手方に催告をして、それでも履行されなかった場合に契約を解除できることになります。

 

 

パターン③:住宅ローン特約の条件を満たした解除

不動産の売買契約書に住宅ローン特約が盛り込まれている場合、その適用を買主側が受けられる状態になったときに契約の解除が可能なケースもあります。

住宅ローン特約とは不動産の買主が住宅ローンを利用できなかったときに、違約金を支払うことなく契約の解除ができる約定のことです。この場合は手付金もしっかり返還されるので買主に金銭的な負担がなくなります。

不動産の購入では大きな額の金銭を支払うことになるので、ほとんどの買主は住宅ローンを組んで購入しますが、金融機関が住宅ローン融資に応じてくれるとは限りません。

住宅ローンを利用して不動産の売買代金を支払う前提で契約を結んでいた場合、そのローン審査が通らなければ買主は売買代金を支払うことができませんから、特約によって売買契約の解消を可能にしておくわけです。

ただし、一定期限内に買主が住宅ローンの申し込みを行わなかったり、必要書類の準備を怠ってローン申請ができなかった場合などには特約が不適用となります。ローンを申請する金融機関名が契約書に記載されておらず、ローン特約が適用されないといったケースもあるので注意してください。

もし特約が適用されなかった場合、買主の事情による売買契約後の解除ということになるので、違約金などを支払う必要が出てきます。特約の内容はしっかり理解しておきましょう。

 

パターン④:売主に契約不適合責任がある場合の解除

不動産の売主に契約不適合責任がある場合、買主は契約を解除することができます。

契約不適合責任とは、売買の目的物が契約の内容に適合しない場合や契約条件を満たさない場合に売主側が買主側に対して負うことになる責任のことです。不動産の場合は売り渡す物件の構造に問題があったり、土地に建物を建てられなかったして、契約目的を果たせないケースが該当します

売主側に契約不適合責任がある場合、売買契約の内容が実現できないことになるので、買主側に契約の解除権が発生するわけです。たとえ売主側に過失がなくても、契約内容に適合しない場合は売主側に責任が発生するので注意しましょう。

 

パターン⑤:消費者契約法で問題がある不動産の契約解除

消費者契約法で問題があるとされる不動産の契約も解除が可能です

たとえば業者から値上がりを示唆されて不動産を購入した場合が事例としてよく挙げられます。不確定な情報によって買主が事実誤認した結果、不動産を購入したのであれば、同法の適用によって契約の解除が可能です。

あるいは業者が当該不動産に関する重要な事柄について、事実と違う説明を行ったケースも当てはまります。たとえば、売買契約をした不動産に抵当権が設定されているのに、その事実を隠していた場合や、間取りや築年数を間違えて伝えていた場合などです。

業者が故意に重要な事実を伝えなかったケースはもちろん、錯誤(勘違い)によって不実の情報を伝えた場合でも適用対象となるので覚えておきましょう。

ただし、同法は事業者と消費者が契約する場合に消費者を守るためのものなので、適用されるには買主か売主のいずれかが不動産会社でなければいけません。

 

パターン⑥:売主と買主の話し合いによる解除

不動産に限らず、あらゆる売買契約は売主と買主の合意によれば契約の解除が可能です。たとえ不動産の売買契約書に記載がなかった条件であっても、双方が話し合いのうえで合意に達すれば契約を解除することができます

たとえば、買主側が売主の契約履行後に一方的に契約の解除を申し出た場合でも、売主側が相手の特段の事情を斟酌し、違約金なしで解除に応じてくれるのであれば問題ありません。ただし、後々のトラブルを回避するためにも、合意が成立したら書面に残して押印や署名をしておくのが無難です。

 

パターン⑦:売主が不動産会社の場合のクーリング・オフによる解除

売主が不動産会社だった場合、いわゆる「クーリング・オフ」によって契約を解除できる可能性があります。クーリング・オフは消費者が業者との間で結んだ売買契約を一方的に解除できる制度ですが、不動産の場合は実際に適用できるケースはかなり稀です

なぜなら、不動産売買においてクーリング・オフを利用するには、売主が不動産業者であることに加えて、さらに「業者の事務所以外の場所で契約を締結している」という要件を満たす必要があるからです。つまり、買主が業者の事務所で交わした契約の場合、クーリング・オフが適用できないのです。

通常、不動産契約は不動産会社の事務所で行われることが多いので、ほとんどの場合は要件に当てはまりません。いわゆるモデルルームやモデルハウスも事務所に準ずるものとみなされて、適用除外となります。

「事務所以外の場所」というのは、たとえば業者が一方的に自宅を訪問して契約した場合や、電話勧誘によって呼び出された場所で契約してしまったケースなどです。買主の方から自宅での契約を申し出た場合は適用されません。

また、上記要件を満たした場合でも、業者がクーリング・オフに関する告知書の交付を行っていた場合、告知を受けた日から数えて8日経過してしまうとクーリング・オフできなくなります

 

 

 

不動産の売買契約後の解除でトラブルを減らすコツ

 

不動産の売買契約書に解除の条件を明記

売買契約を締結する際には、手付け金での解除の可否や違約金の金額などを契約書にしっかりと盛り込んでおくことが重要です。特に次の項目が入っているか確認しましょう。

 

●売買する不動産に関する情報(建物の所在・地番、面積など)

●売買代金

●手付け金の種類と金額

●代金の支払時期と支払方法

●物件状況等報告書

●当該不動産の所有権移転時期

●引き渡し時期

●所有権移転登記などの負担について(※一般的には買主が登記費用を負担する)

●危険負担

●住宅ローン特約

●契約違反が生じた際の解除や違約金

●抵当権について

●公租公課などの負担について

 

すべての項目が必須というわけではありませんが、どれも重要なものです。不明な点は業者に確認するなどして確認漏れがないようにしましょう。

なお、上記の「危険負担」というのは不動産が引き渡される前に買主・売主の双方に責任のない出来事によって不動産に滅失・毀損が発生した場合の扱いについての規定です。たとえば、天災によって当該不動産が燃えてしまった場合、売買契約の解除が可能となり、さらに売主は買主に対して代金の全額を無利息で返還することになります。その旨が記載されているかどうかをチェックしてください。

 

 

信頼のできる不動産会社で媒介契約を進める

不動産売買契約の多くは、不動産会社の仲介によって個人と個人との間で結ばれるので、不動産を購入したい人にとって、信頼できる不動産会社と媒介契約を結ぶことが重要になります。売る側にとっても、優秀な営業マンのいる不動産会社を選ぶことで、想定に近い価格で不動産を売却できる可能性が高まります。

建物や土地に関する専門知識・法律知識が豊富で、普段から誠実に対応してくれる業者を選ぶようにしましょう。何か問題が起こった際にも損害が最小限になるように的確にサポートしてくれる業者が望ましいといえます。

特に何らかの理由によって売買契約を解除したい場合でも、契約当事者の双方が納得できるようにしっかり取り計らってくれる担当者がついてくれれば理想です。不動産に関する知識が豊富な業者はたくさんいますが、当事者双方の利益のために動いてくれる業者を選ぶためには、できるだけ多くの不動産会社を比較検討することが大事です

 

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